私たちの印刷へのこだわり

みなさま、はじめまして。FLATLABOプリンティングディレクターの霊山(タマヤマ)と申します。
今回から、FLATLABOで写真やグラフィックなどの作品データをプリントする際に、私たちが実際に行っているデータ調整の工程をご紹介していきたいと思います。
序章
皆さまは、印刷した仕上がりがイメージと違っていたというご経験はありませんか?
FLATLABOでは、お預かりしたデータをそのまま印刷することはほとんどなく、必ずといっていいほど何らかの調整を行なっています。
なぜなら、「作品データ」=「印刷データ」ではないからです。
印刷データとは、紙やその他の素材に出力した際に、最も美しく見えるよう調整されたデータのことを指します。
今回は、私たちが実際に行っている調整の内容について、ポイントを絞ってご紹介していきます。
1章 濃度調整
皆さまは、デジタル作品を制作する際、モニターを見ながら作業されているかと思います。
モニターは、背面からのバックライトによって画像を表示しているため、色は鮮やかに見え、濃度も明るくはっきりと確認できます。
一方で、印刷物にはモニターのようなバックライトが存在しないため、完成データをそのまま印刷すると、暗く、濁ったような、立体感に欠ける印象になることがあります。
特に、もともと暗めの写真はさらに暗く出力されることがあるため、注意が必要です。
このような違いを考慮し、FLATLABOでは、作品が印刷上でも美しく見えるよう、濃度の最適な調整を行っております。

2章 色調整
印刷物では、使用する素材の地の色やプリンターの特性により、意図した色味と異なる仕上がりになることがあります。この現象は「色転び」と呼ばれ、特に繊細な色表現が求められる作品では、見た目に大きな影響を与えることがあります。
FLATLABOでは、この色転びを最小限に抑えるため、使用する素材やプリンターごとの特性を事前に把握し、それに応じた色の調整を行っています。
さらに、特に写真作品においては、撮影時の光環境による色かぶりなどの影響で、本来の色味が正しく出ていないケースもあります。その場合には、より自然な仕上がりとなるよう色調整を行うこともあります。
※ただし、作風として意図された色かぶりについては、その表現を尊重した上で調整しています。
まず大切なのは、作品全体の色味を複合的な視点から分析し、ニュートラル(中立的)な状態に整えることです。これにより、印刷された作品が持つ本来の魅力を、より正確に引き出すことが可能になります。

3章 表現力を上げる調整
第1章・第2章では、モニターで見た完成データのイメージに近づけるための調整についてご紹介しました。
それに加えてFLATLABOでは、印刷されたからこそ感じられる「物質感」を引き出すための調整も行っています。
これは、単にデータを再現するのではなく、「モノになった時の雰囲気」や「手に取ったときの印象」をより豊かに味わっていただくための、細やかな仕上げ作業です。
改めて、調整は基本的に以下の順番で進めます:
- 濃度の調整
- 色味の調整
- +αの調整(物質感を意識した微調整など)
この順番を守ることがとても重要です。
順番を誤ると、調整の基準が定まらず、全体のバランスが不安定になってしまうため、FLATLABOでは「調整の順序」そのものを大切なルールとして徹底しています。

最終章 調整とは作品をより特別なものにする大切な工程
簡単なご紹介となりましたが、FLATLABOでは、お預かりしたすべてのデータに対して丁寧な調整を行い、
皆さまの大切な作品づくりをサポートしています。
次回以降は、作品ごとの意図や表現に合わせた「濃度調整」「色調整」「表現調整」について、もう少し詳しくご紹介していく予定です。
特に写真展を開催される方や、大判出力を検討されている方には、きっと参考になる内容になるかと思います。
それではまた次回、お会いしましょう!

霊山 玄/Gen Tamayama
プリンティングディレクター
プロラボにて数多くの著名写真家の銀塩プリントやデジタル出力を担当後、2019年FLATLABO合流。難しい色再現や斬新なディレクション案件を得意とする。